メイクルームが心のゆとりを生む
こちらのお客さまは、子供のころよりチラシにある間取りを見るのがお好きでよくご覧になられていたようです。
しかし、「どうしてこうなるのか?」と疑問に思うことが多く「使いやすい(生活しやすい)間取りをほとんど見たことがない」とおっしゃっておられました。
それもそのはず、絵や書道をたしなみ美術にぞうけいの深い奥さまでいらっしゃいました。
『なにがしたいのか』がプランをつくる。
- ホテルや旅館のように生活感と離れた空間にしたい。
- 毎日つかうトイレと洗面所を大切にしたい。
- いそがしくても空き時間で趣味をしたい。
ホテルや旅館のように生活感のない空間とするためには、まずは物を表に出さない出させないことが重要。そのうえで、あえて後まわしにされがちなトイレや洗面脱衣場を1番に考えてイメージに合うものにモディファイトする。
趣味の絵を書くアトリエを寝室近くに設ければ、就寝前の数分でも作業ができる。また、元々見せない場所なのでそのまま放置しておいても余り苦になりません。
1階は、お風呂・トイレ・化粧室・廊下・キッチン・収納をひろくしたので和室はあきらめる。
この潔さも『なにがしたいのか設計』では大切。
プランニング_Data
設計条件
―この土地の特徴―
・標準てきなおおきさの土地
・南が道路
・隣地に整備された庭がある
―お施主の希望―
・イメージは和寄りの洋
・風通しのいい家
・生活感のない住宅
・部屋数より広さ重視
・雨にぬれない外部スペース
・脱衣室とはべつに化粧室
・トイレ、お風呂などの水まわりを広く
など
設計者からのアンサー
現地調査をした際に、おとなりのお宅の庭がステキなので借景を想定しました。(借景をする場合は、すこし遠慮しがちのセッティングをおすすめします。)また、この家では遮蔽(しゃへい)コントロールをおこなっております。
遮蔽コントロールとは―
真夏の太陽高度(日差し角度)では室内に直射日光がはいらないようにし、逆に真冬の太陽高度では直射日光を部屋の奥にとり入れるように、地域や建物方位などをかんがえて日光をコントロールすることです。
今回は、ひさしを利用して遮蔽コントロールをするとともに、その下をお施主のご希望するぬれないスペースとして自転車置き場にしたり、お庭のしごと道具の仮置き場、やさい干場として利用します。そして、勝手口にあたる場所もぬれない場所として、ゴミの仮置き、エコキュート置場、あまり見せたくものを吊るす場所として設定しています。
室内プランは、お化粧と家事デスクとして奥さま専用の場所をつくり、収納は生活動線にそうように配置を工夫して効率化。また、ホテルライク空間にしたい希望にたいしてトイレや洗面所を緊張感のある黒色でコーディネートとする、玄関に床の間をもうける、和室はなくても障子をつかうことで和の装いを強めた。
一生で1回の家づくり「このさい何でもかんでも詰め込みたい。」⇐この気持ちはわかります。
しかし、なんでも詰め込めるだけの大きな土地・家の面積・予算があればよろしいが、普通は限りがあるもの。また、なんでも詰め込んだがために中途半端になるくらいなら、できる範囲でより快適で広々した空間をもとめて、このお宅のように「和室はあきらめる」いさぎよさも大切です。
犬山市Kさんの家_基本Data
家族構成は夫婦40代+子ども1人/敷地面積175.21㎡(53.00坪)/1F床面積75.36㎡(22.80坪)2F床面積65.42㎡(19.79坪)延床面140.78㎡(42.59坪)/施工年月2012年11月/本体価格2,130万円
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