吹き抜けリビングと高効率で暮らす
こちらのお客さまは、仕事柄なのか機能や効率などのランニングコストや快適性をかんがえるのがお好きで、はじめは某ハウスメーカー工務店で建築をかんがえたようですが、画一的なものに満足できず「餅は餅屋」とのおもいから設計事務所の意見も聞いてみたくなり、お問い合わせくださいました。
当時はSDGsなどさわがれる前のはなしで、お客さまの先見の明はたいしたものだと感心させられます。私どもは20~30年前から住宅の性能の低さに危惧しており、つねに当時の基準値の10~20%増しで設計していた経緯があります。その考え方や手法から一般的には理解しにくい太陽光コスト効率や低炭素住宅について、毎回5時間におよぶ打合せという名の勉強会をいたしました。
なにも時間ばかりかけることが美徳だとはおもいません。しかし、「はやり」「みんなそうだから」という理由で内容をご理解していただかず建築におよぶのは、なにか騙し討ちみたいでいやだったのかもしれません。お施主さまも理系的な話しがお好きでしたので、しっかり時間をかけました。
プランニング_Data
設計条件
―この土地の特徴―
- 土地区画整理地内
- 南北が短く、東西に長い
- 42坪の台形形状
―お施主の希望―
- ○条工務店のような断熱性能
- 10Kw以上の太陽光発電
- オール電化
- リビングに吹抜け
- 床暖房
- リゾート感
など
設計者からのアンサー
敷地形状のちかい近隣の新築住宅は1階に日差しがほとんど入っていませんでした。地域柄いたしかなない面もあります。しかし、最大限の思考と努力でこの住宅の二の舞にならないように、冬至における入射角を計算してリビング上部に吹抜けをもうけるなどして、1階の各部屋にも十分な日照をえられる設計としています。
その際に注意したのが、ただ大きい窓をつければいいというわけではないこと。冬至のことばかり考えて夏至のことを考慮しないのはナンセンスです。「ひさし」などで夏至の日照量を調整するのがセオリーですが、今回は近隣建物がその代わりをしてくれることもあり、窓サイズで総入量を調整する感じに。
ご主人が重視されている「断熱性能、太陽光による売電、日々の高熱費の削減など」の住宅の機能面、性能面、投資コストバランスをかんがみて、太陽光発電容量と屋根形状を算出して決定のうえ、青森・道南地域にあたる断熱性能とオール電化の組み合わせに。
奥様のご希望テーマは「日常におけるリゾート」でしたので、開放感と抜け感のあるストリップ階段とし、吹き抜けをのぞむ廊下とあえて和室をオープンにすることでいろいろな目線が生まれる空間デザインに。外観を決める屋根は、太陽光発電のため片流れになるのでシャープな印象になり過ぎないように。外壁は暖かみのあるベージュ色系としてイメージの調和をはかっています。
小牧市Kさんの家_基本Data
家族構成は夫婦40代+子ども1人/敷地面積139.52㎡(42.20坪)/1F床面積66.15㎡(20.01坪)2F床面積52.17㎡(15.78坪)延床面118.32㎡(35.79坪)/施工年月2014年3月/本体価格2,390万円
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